個人・企業において、AWS(Amazon Web Services)を利用したシステムやアプリケーションの開発・運用していくにつれ、料金の最適化という課題は避けて通れません。
本記事では、AWSのコストを効果的に削減する5つの方法を紹介します。
これらの方法を活用することで、AWSの利用料金を抑えつつ、必要なサービスを最大限に活用することが可能になります。
AWSの料金形態

AWSの料金形態の大きな特徴として「従量課金制」が挙げられます。
このシステムは一見シンプルながらも、多くのサービス間で料金が異なり、また使用量によっても変動します。
AWSのサービス料金は以下のようなものがあります。
- サーバースペックによる課金
CPU・メモリ・ストレージ等のスペックによって料金が変動します。
- リージョンによる料金の違い
サービスを利用するリージョンにより、料金が変わります。
これは、日本の物価と他国の物価(土地代や人件費など)が異なるためです。
- 通信量による課金
AZ間、リージョン間、インターネット通信など、通信量単位で課金されます。
- 固定料金
ALBやEIP、QuickSight、Bedrockなどは月額固定の費用が発生します。
一部サービスは一時停止などができないため、コスト削減ができないモノも存在します。
上記の特徴を理解したうえで、AWSコストを最適化する術を見ていきましょう。
AWSにおけるコスト削減方法

ここからは、AWSにおけるコスト削減をご紹介します。
EventBridgeを使ってサービスの自動起動・停止を行う
AWS EventBridgeは、AWSサービスへ定期的にAPIを実行できるサービスです。
cron式を用いてEC2やRDSの停止・再開・再起動などの処理を行うことができます。
EC2やRDS以外にも、Fargateなどにも対応しています。
特定の時間にAWSサービスの停止・再開ができるため、コスト削減が可能です。
例えば、システムの開発環境や平日に社員のみが利用するシステムに対して、オフィス時間外や週末にリソースを自動的に停止させることで、不要なコストを削減することが可能です。
RI・SavingPlan・スポットインスタンスを活用する
AWSでは、リザーブドインスタンス(RI)、Saving Plan、スポットインスタンスといった、コスト削減を目的としたさまざまな料金オプションを提供しています。
RIやSaving Planは、あらかじめ使用するリソースを予約することで、従量課金制よりも大幅に安価な料金でサービスを利用できます。
一方、スポットインスタンスは、AWSの余剰計算容量を市場価格で利用できるため、最大90%までコストを削減できる可能性があります。これらのオプションを適切に組み合わせることで、長期的なコスト削減効果を期待できます。
これらのインスタンス購入方法は下記の順で低額なプランとなります。
※1年・3年などの購入オプションがあるため注意すること
①スポットインスタンス:最大9割引き
②リザーブドインスタンス:最大75%引き(インスタンス変更は買い直し)
③SavingPlan:最大72%引き(インスタンスタイプ変更可能)
④オンデマンド
⑤dedicated host
※オンデマンド、予約料金、および Savings Plans の 3 つの異なる料金モデルが存在
AWS Compute Optimizerを利用する
AWS Compute Optimizerは、お客様の使用状況に基づいて最適なコンピューティングリソースを推奨するサービスです。
このサービスは、過剰にプロビジョニングされたリソースや、パフォーマンス向上のためにサイズ変更を推奨するインスタンスを特定します。
Compute Optimizerの提案に従ってリソースのサイズを調整することで、無駄なコストを削減しつつ、アプリケーションのパフォーマンスを最適化することができます。
ただし、機械学習によって適切なインスタンスタイプの選定を行うため、仕様として最低14日間の起動ログ(CPUやメモリの推移状況の確認)が必要です。
AWS公式のクレジットを利用する
AWSは、スタートアップや教育機関、特定のプロジェクトに対して、AWSクレジットを提供しています。
これらのクレジットを利用することで個人利用の範囲であれば十分に個人学習や開発テストを行うことができるようになります。
クレジットはAWSの公式セミナーなどを受講し、アンケートに答えることで25USDのクレジットが付与されます。
詳しくは下記記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
AWS請求代行サービスを使う
AWS請求代行サービスを利用することでコスト削減が可能です。
私たちユーザーとAWSのあいだに請求代行サービスを介し、ユーザーは請求代行企業に料金を支払います。
請求代行サービスを利用することでなぜコストが削減できるかというと、請求代行サービスは多数の顧客のAWS使用量を一手に引き受けることで、大量のAWSリソースを購入します。
AWSは、このような大量購入に対して量割りの割引を提供しており、請求代行サービスはその割引を顧客に還元することができるのです。
具体的には、AWS利用料の3%~20%ほどの割引が受けられます。
ただし、15%や20%の割引には契約期間や数か月だけなどの制約があるため注意しましょう。
恒久的には3%~7%程度が相場となります。
請求代行サービス以外にも、AWS構築も一緒に請け負う企業もあるため、有効活用すると良いでしょう。
私がおすすめするAWS請求代行サービスは下記となります。7%の割引に加えて、監視運用業務も提供しています。
AWS費用が7%割引でオトクに!【AWS請求代行サービスadv.】
AWSサーバーの監視運用を24時間365日でご支援!【AWS運用・保守サービス】
まとめ

本記事で紹介した5つの方法は、AWSの料金を抑えるための効果的な手段となります。
それぞれを上手く活用してAWSコストの削減を行いましょう。
最後に、AWSの効果的な学習方法をご紹介します。
自学自習はUdemy講座
オンラインプラットフォームであるUdemyは安価で手軽にAWSの学習が可能です。
しかし、上記で紹介したような実際のAWSエンジニアが実施している構築スキルまでは教えてくれません。初心者~中級者向けの講座が多くなっています。
私も受講した、初心者向けAWS講座を下記記事でまとめています。ご参考ください。
1人で学習が難しい場合はオンラインレッスン
1人で学習が難しい場合はオンラインレッスンがおすすめです。
最近では、AWS講座を提供するオンラインレッスンも増えてきました。
料金は高くなりますが、現役エンジニアからAWSについて学ぶことができます。